ある集落の「ボロ織の伊達巻き」
ある集落の「ボロ織の伊達巻き」について述べたい。
それ自体はべつに、目新しいものではないし、述べる内容も特別変わった視点のものではない。
また、「昔のひとは、破れたり汚れたりした"きもの"を、裂いて織り直し、帯にした。」
「このように、"もの"を最後まで使い、大事にした。」・・・と、
教訓めいた事を述べたい訳でもない。
わたしが、このありふれた"帯"に感心し注目する訳は、その"オシャレな点"と、
生地を裂いて作った糸を巧みに使う織りの技術と発想にである。
下に示した【「ボロ織の伊達巻き」-01】 の写真に注目して頂きたい。
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この織物を御覧になって、みなさんはどのような印象を持たれるのであろうか。
わたしは、この織物を見て、貪欲なまでの"ものをつくる力と気持ち"を強く感じた。
また、技法的には「裂き織り」なのだが、・・・。
「印象として、樹皮布や紙織りの布に似た点を感じた。」
何故ならば、樹皮布や紙織りを手がけた事がある方なら御理解いただき易いだろうが、
"麻"のたて糸に、かなり細く裂いた布を撚って糸にしたものを緯糸にして使っている事が判る。
その時に布を裂く巾の度合いが、丁度、樹皮布や紙織りの布に似たところがあるのかも知れない。
このような、細幅の帯は労働着の帯として用いられる事が多い。
日本の民族的な衣類というと、"きもの"というイメージをもってしまうが、
これ等、仕事着は主に洋服状の"筒袖"である場合が多い。
そういう点から連想すると、このような細帯が"ベルト"のように感じられ、
そして、いわゆる"日本的なもの"や、"日本文化"としていわれるような、
"よく云われるイメージ" が、疑わしく思われる。
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【 ある集落の「ボロ織の伊達巻き」-02 】 撮影:福田 いくよ |
この上に示した写真も、「ボロ織の伊達巻き」であるが、
大柄の縞文様で、とてもモダンな感じがする。
このような、自家製の布を何故作ったのか。?について、よく言われるのは、・・・
「昔は、モノが無かったから、・・・。」,「みんなが貧しかったから、・・・」
・・・と言うような説明だが。
しかし、果たしてそれは本当の事なのだろうか。?
そのような動機から作られ始めたものなのであろうか。?
私が、これ等のものを見て、いつも感じるのは、逆に・・・
「買って身につける事しかできなくなってしまった我々の貧しさだ。」
勿論、それは近頃流行の"スローライフ"や "癒しの時間"とかいうような、
スタイリッシュで曖昧な価値観からの観点で言うのではなく、
これ等から、もっと根源的な力を感じるからに他ならない。
これ等は、ボロ織や裂き織という、その名称からうけるイメージからか、
"リサイクル"的な意味合いから注目されているようであるが、
そんなに単純な成立の背景ではないように思う。
巧く伝えられないが、そのような目先の利益だけからできたものでないように感じる。
なぜなら、裂いてつくった糸を、"染めた色糸"として工夫して使い分けているし、
経糸に、それよりも細い、麻・苧麻・イラクサなどの績んだ糸を用い、
緯(ヨコ糸)が織りなす"色"の鮮やかさがより顕われるように工夫されたものだと思うからだ。
だから、わたしは、これ等のものを、
"リサイクル"的な観点からのみ評価する風潮や説明には、とても抵抗を感じる。
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●ボロ(襤褸)織とは・・・
《注:襤褸織(ボロ織)は一般に裂き織と呼ばれる事が多い。》
《注:裂き織を襤褸織(ボロ織)と呼称する地域は、長野県・群馬県などがあげられる。》
長野県 北安曇郡小谷村では、特に"ボロ織"の呼称を用い、伝承されている。
●小谷村でボロ織が体験できる施設
「小谷村郷土館」
・開館時間 9:00〜16:30
☆入場料金 一般 300円 小中学生 100円 (団体/一般 240円 小中学生 80円)
・休館日 月曜日(冬期休館)
tel: 0261−82−3663
※必ず事前に電話などで御確認下さい。
「小谷ボロ織りの会」
・期間: 4/22〜11/30
・内容: はた織機を使ってコースターを作ります。
・時間: 約15分程度
・料金: 郷土館入場料300円+ぼろ織り材料200円の合計500円
※小谷村役場振興課農林係 様まで、必ず事前に電話、Fax、メールなどで御確認下さい。
お問合せ先:TEL 0261-82-2001 Fax 0261-82-2232
「中谷郷 おらが里」
長野県 北安曇郡小谷村「中谷郷 おらが里」の民俗資料館(第3資料館)には、
主に機織りの道具が並べられ、小谷独特の織物"ボロ織"を作る体験ができる。
[事前に連絡してください。]